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大阪商人の経済倫理を支える

大阪商人の経済倫理を支えた懐徳堂

伝統的な倫理観では、正義の実践と利益の追求とは相反するものと考えられていました。士農工商という厳格な身分制の当時、「商」業活動は、利を求める行為としてあまり評価されていなかったのです。ところが、懐徳堂では、「仁義」などの伝統的倫理道徳を尊重しながらも、「利」に対する考え方が、非常に柔軟でした。

正義と利益は相反するか

懐徳堂における正義と利益との関係は、第四代学主中井竹山(なかいちくざん)の次のようなことばからも分かります。
 「商人が商業活動によって得る利益は、武士の知行(土地支配による利益)、農民の作徳(年貢を納めた後に残る純益)に相当する。それらはみな商・士・農それぞれの「義」であり「利」ではない。ただし、分不相応の高い利益を貪るような気持ちを「利欲」といい、これはよこしまな誤った道に落ちるものであり、義に背く行為である」(『蒙養篇』)
 
 このように竹山は、商業活動を、商人の「義」と論じ、それ自体は決して非難されるべきものではないと断言しました。ここには、「義」と「利」についての柔軟な思考がうかがえます。これも、大坂の町に生まれた懐徳堂の大きな特色の一つでありましょう。大阪町人たちは、こうした倫理観に支えられ、大阪の街ならではの経済活動を進めたのです。
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